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HOME > JMRからの提言 > 提言論文 > 社会・経済 > 提言論文 どうなる地方の医療? - 医師不足の真相(2010年)

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どうなる地方の医療? - 医師不足の真相
社会経済研究チーム
図表.医師不足の真相
図表.「都道府県別人口10万人当たり医師数(2008年)
 2006年、世界保健機関の医療制度ランキングによれば、日本の医療制度は先進諸国の中で世界一と評価された。世界トップレベルの長寿国であり、乳児死亡率は世界でもっとも低く、国民一人当たりの医療費も先進国中で低い水準にあることが評価された。
 医療制度は世界一にある一方で、日本では「医師不足」と言われて久しい。実態はどうなのか?国際比較でみれば、人口10万人当たりの医師数は、OECD諸国平均が302人、日本は215人と30ヵ国中27番目の低さである。国際比較でみれば、医師不足が確認できる。
 しかし、それだけでは医師不足は語れない。医師数は増え続けているのだ。厚生労働省によれば、国内の総医師数は、2008年時点で28.7万人。ここ20年で約1.5倍となり、毎年増え続けている。また、人口10万人当たり医師数も20年前は164人であるから、大きく改善されていることがわかる。
 医師不足のもうひとつの問題は、日本の医師の多忙さからくるものである。ひとつの指標として、病床100床当たりの医師数をみると、日本が約15人に対して、欧米諸国は30名を超える体制となっている。また職員数も同様で、日本は欧米諸国の半数以下となっている。つまり、医師数は増えているが、それ以上に病床数が多く、患者一人当たりのサービス水準が低いのである。

地方医療の可能性
 医師不足は、地方で深刻といわれているが、人口10万人当たりの医師数からみると、必ずしもそうとは言えない。どちらかといえば「東高西低」のようになっている。しかし現実は、高齢化の進んでいる地方において、相次ぐ病院の閉鎖や患者のたらい回し、臨床研修医不足など、深刻な問題に直面している。そもそも国際比較で見たときには、人口当たり医師数でOECD諸国平均値を上回る都道府県はないのである。
 人口減少が顕著な地方で、医療はどうなるのであろうか?三つの方向性があると考えられる。第一は、医療モールの形成である。総合病院が少ない地方において、必要な診療科をショッピングセンターのように一カ所に集積することで医療サービスの水準をあげるものである。第二は、住民参加型の総合ヘルスケアセンターづくりである。南医療生協(名古屋市)では、市民と協同でつくる健康なまちづくり支援病院として、住民の声を集めた病院をオープンさせ注目されている。そこには、病院だけでなくフィットネスセンターや保育所、レストランなどがあり、暮らしを支えるために必要なネットワークを満載した施設となっている。第三は、遠隔医療・ヘルスケアサービスである。遠隔医療は1990年代後半以降に900以上のプロジェクトが計画されたが、多くが頓挫した。しかし、方法論としては有望であることは間違いない。現代の技術革新を活用すれば、新たな活路が開けると考えられる。
(2010.10)

本稿には当社代表・松田久一、並びに社会経済研究チームのメンバーによる議論・検討の成果が活かされております。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。


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