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(2009.08)
月例消費レポート 2009年8月号
政府の基調判断、3ヶ月連続上方修正。異常気象の余波に要警戒
主任研究員 菅野 守



1.はじめに
 底打ち宣言から数ヶ月が経過し、景気は徐々に回復への歩みを進めつつある。
 2009年7月13日に公表された2009年7月の月例経済報告によると、景気の現状について6月時点の「一部に持ち直しの動きがみられる。」から「このところ持ち直しの動きがみられる。」へと上方修正された。3ヶ月連続の上方修正は、2002年5月以来7年2ヶ月ぶりのこととなる。
 個別項目のうち、個人消費、公共投資、輸出、輸入、業況判断の5項目が上方に修正された。個人消費は、消費総合指数が3ヶ月連続で上昇となったことや、エコポイントやエコカー減税などの経済対策の効果で、自動車や薄型テレビの需要が回復していることを受けて、「弱い動きとなっているものの、一部に下げ止まりの兆しもみられる」から「このところ持ち直しの動きがみられる」へと2ヶ月連続で上方修正されている。輸出は、アジア向けで改善の動きがみられるのに加え、不振の欧米向けでも下げ止まり感がでてきたことを受けて、「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」へと4ヶ月連続で上方修正されている。業況判断は、「極めて大幅に悪化している」から「厳しい状況が続いているが、大企業においては持ち直しの動きがみられる」へと上方修正されたが、これは2006年7月以来3年ぶりのこととなる。海外経済については基調判断が2ヶ月ぶりに上方修正され、地域別では米国とアジアについて上方修正がなされている。
 景気の先行きについては、「景気は持ち直しに向かうことが期待される」として判断を据え置いたものの、経済対策の効果や対外経済環境の改善に加えて、在庫調整の一巡という踏み込んだ言及がなされており、引き続き今後への明るさを示唆する内容となっている。他方で、生産活動の低水準状況や雇用情勢の一層の悪化懸念、世界景気の下振れ懸念など、景気の下押しするリスクに対する警戒感は、前月と同様に示されてはいる。
 財務省が2009年7月23日に発表した2009年6月の貿易統計(速報・通関ベース)によると、輸出額は対前年同月比で9ヶ月連続の減少、輸入額は8ヶ月連続の減少となったものの、黒字額は、円高により原油・原材料の輸入額が大きく減少したことや自動車など輸出の下げ幅が縮小したことを受けて、1年8ヶ月ぶりの増加となった。輸出の減少幅は2009年6月に-35.7%となり、2009年2月を底に下げ幅は縮小している。特に自動車や電機では、海外での在庫調整進展とアジア地域での最終需要の回復により、減少幅の縮小が米国向けとアジア向けでともに認められる。他方で、世界的な設備投資低迷のあおりを受けて、一般機械の輸出は低調が続いている。輸出の本格回復には、設備投資の回復による関連製品の輸出の復調を待たねばならないところだが、米国・アジアなど各地域で輸出の持ち直しが続いている点は、今後の日本の景気にとっては好材料である。
 内閣府が2009年7月8日に発表した2009年6月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断DIは前月比+5.5ポイントの42.2、景気の先行きに対する判断DIは前月比+2.3ポイントの45.6となり、ともに6ヶ月連続での上昇となった。現状判断DIの内訳を見ると、雇用関連、企業動向関連、家計動向関連のいずれも6ヶ月連続で上昇している。企業動向関連のDIは前月比+5.8ポイントの42.9となったが、自動車業界などからの受注改善の兆しや出荷の下げ止まり傾向、更には公共工事の前倒しによる受注増などが好感されている。小売り、飲食、サービス、住宅の四つで構成される家計動向関連のDIは前月比+5.2ポイントの42.4となり、エコカー減税や定額給付金給付、高速道路料金の引き下げなどが奏功している。雇用関連のDIは+7.6の39.9となり、伸び幅は過去3番目を記録となる。求人数、採用者数とも2月を底に下げ止まりの動きが見られるとともに、緊急雇用安定助成金などの政府の雇用支援策も下支え要因となっている模様だ。
 同じく内閣府が2009年7月13日に公表した2009年6月の消費動向調査によると、消費者態度指数(一般世帯、原数値)は前月比+1.9ポイントの37.6を記録し、6ヶ月連続の上昇となった。個別指標を構成する「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4指標すべてが前月よりも上昇しており、消費者マインドに持ち直しの動きが続いていることが確認できる。ただし、夏のボーナス減の影響が消費者マインドにどのように出るのかは、今後注意が必要な点である。
 不振を極めた輸出にもようやく下げ止まり感が見え始め、経済対策を後押しに実態とマインドの両面で個人消費をとりまく状況は好転しつある。だが、設備投資や住宅投資の不振は生産の伸びの頭を押さえるとともに、雇用・収入環境の悪さは消費を下押しする足かせとなっており、景気回復の足取りを重いものにしている。夏季ボーナスの減少と異常気象というふたつの異変が、景気の腰を折る可能性も決してゼロではない。8月30日に国民の審判を待つ政治と同様、経済にとっても今夏は波乱の夏を迎える。

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