| 2009年のヒット商品 | ||
| デフレ下のスマート消費 | ||
| 大場美子 | ||
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デフレ経済下にあって、給与が対前年減少が続くなど、消費をとりまく環境がどんどん厳しさを増す中で生まれたヒット商品は、節約の役に立ち、生活を充実させるスマート消費スタイルを実現するものだった。 家庭での内食回帰が進んでいる。ただし、一汁三菜の伝統的な食事のスタイルではなさそうだ。 粉モノ、例えばお好み焼きの粉、おたふくソース、たこ焼きの粉、ホットケーキミックスが売れている。ホットプレートやたこ焼き器などを使って、家族や友達と作ることを楽しみながら食べる食事に登場する。 鍋モノのバラエティーがさらに拡大し、トマト鍋や蒸し鍋がブームとなり、手近な野菜を使った鍋ものが普及している。レンジ調理専用の調理器具の「ルクエ」や、レンジでも使えるタジン鍋がヒットしている。 加工食品では、素材を加えてレンジ調理するキューピーの「レンジクックシリーズ」がヒットした。レンジ調理はこれまでもご飯ものやパスタなどいくつかの食品メーカーから登場していたが、レンジクックシリーズは本格的な中華や和の一品料理になることがヒットの理由だろう。 さまざまな調理用の鍋や調理器具を使いこなして作る調理ではなくて、まな板や包丁をなるべく使わず、簡単で洗い物が少なく、手近な素材で見栄えがするもの、誰か一人が作るのではなく、楽しんで作りながら食べるスタイルが浸透している。 また、ユーザーの投稿によって66万件という膨大なレシピと作り方を掲載する「クックパッド」がヒットしている。新たなメニューの情報コンテンツが伝統や調理スキルに囚われない調理と食の楽しさを伝えている。 省エネ家電へのエコポイント政策の後押しがあって、省エネ型の冷蔵庫、特に400l以上の大型冷蔵庫や、薄型TVとそれにともなってブルーレイディスクレコーダーが売れた。 加湿器・空気清浄機はここ数年伸長していたが、新型インフルエンザ対策として一時的に品切れが発生するほど拡売した。 調理家電では、IH炊飯器やホットプレートが伸びている。 他にも自動掃除ロボット「ルンバ」に5万円を切る機種が導入されて対前年比2倍の勢いで売れた。 政府の政策や新型インフルエンザといった思わぬショックもあったが、残業時間が減ったことや、お金のかかる外での余暇レジャーを減らすなど、不況によって家で過ごす時間が増えたことが、家庭用品への関心を高め、家の中での生活の充実に役立つ商品の購入を促している。 「iPhone 3GS」が売上を伸ばした。08年夏の日本市場導入当初は話題性は高かったものの今ひとつ伸びなかったが、コンテンツが充実し、使い勝手の向上と低価格化によって一気に普及し始めた。ネットブックやミニノートPCなども伸長している。 「ドラゴンクエストⅨ」がヒットし「ニンテンドーDS」が再浮上した。「すれ違い通信」機能によって、他人同士がすれ違いスポットで一喜一憂する奇妙な現象もみられた。 「ツイッター」という140文字の制限があるブログのようなサービスが急速にユーザーを拡大している。ブログよりも気軽に投稿でき、フォローというしくみにより情報のリアルタイム性が高い。個人だけでなくニュース配信など様々な企業からもコンテンツが提供されはじめている。 話す携帯と使う携帯が分かれて、話す携帯は頭打ちだが、常に情報にアクセスしたいユーザーニーズを背景に「使えるモバイル機器」が本格普及し始めている。 家電製品のエコポイントと、自動車のエコカー減税と補助金によって家電と自動車の需要を底上げした。自動車業界では、エコカー減税・補助金をマス宣伝で各社がこぞって訴求し業界あげての一大キャンペーンとなった。特に「プリウス」、「インサイト」は実質的に200万を切るようになって、軽を除く乗用車の新車販売台数の一割以上をこれらハイブリッド車が占めるようになってきた。 1,000円高速によってETC車載器、付随的にカーナビ、特にPNDと呼ばれる数万円万台のポータブル型カーナビが伸びている。 「エネファーム」、住宅用太陽光発電なども設置率が上昇していきている。政府の政策によってエコ関連設備機器の普及が拡大している。 今、割高なものが敬遠されている。 大手GMS(総合スーパー)のPB商品がさまざまな商品カテゴリーでシェアを拡大している。価格の安さの上に、ユーザーから「値段の割に品質がよい」という評価をされている。 「KY(カカクヤスク)キャンペーン」を展開する西友は、298円弁当をヒットさせ、イオンが278円弁当で対抗し、弁当の値頃感を変えた。円高によってバナナなど輸入果物をはじめ、生鮮食品の低価格化が進んでいる。ユニクロが「g.u.」ブランドから990円ジーンズを発売、大手GMS各社が1,000円未満のジーンズを投入して売れ行きを伸ばしている。 化粧品では1,000円前後の「肌研(肌ラボ)」が好調。外食産業、家具インテリア業界全体が低迷する中で「餃子の王将」、「マクドナルド」、「ニトリ」など安くて一定の品質評価のあるブランドが業績好調である。「安くて納得のいく品質だ」と信頼を持たれたところが伸びている。 単に安いからというだけではなく、自分の趣味に合い、他人からみてもバカにされず、中長期的に節約の役に立つものを選ぶのが、不況下で市場を牽引するスマート消費スタイルである。
(2010.01)
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