| 消費社会白書2010 「ひらく世代格差、強まるスマート消費」より | ||
| 新しい消費の現実・マーケティングへのインパクト | ||
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2010年版には、「ひらく世代格差、強まるスマート消費」というタイトルをつけました。不況下においてさまざまな点で、世代格差が露呈してきたと感じております。世代による格差というのは、もともとあったのだと思います。好況期においては収入にゆとりがあれば、皆さんある程度同じ水準の消費があったものが、不況下で全体的に収入が減少し、購買力の差が大きくなると、もともとあった世代による違いの山谷がはっきり見え、購買行動やモノの選び方の違いが鮮明になってきたのではないかと思います。価値意識もこの数年で大きく変化しています。結果として、消費が大きく変わったとみております。どう変わっているかというと、ここで言いたいのが「スマート消費」です。 我々のアプローチの特長は、2004年から継続している全国の15~69歳の男女、約2,000サンプルの消費者調査データに基づいているということ、さらに80年代から続けている価値意識の時系列分析や世代研究を踏まえていることです。
まず第1に、「価値意識が大転換している」というデータをお見せします。結論を先取りすると「自己実現志向」から「他者依存志向」へという変化です。 第2番目に、どうしてこのような価値意識の転換が起こったのか、その背景をご紹介します。3番目に、「強まる節約意識」です。不況ですから、当たり前の帰結ですが、やはり節約意識が強まっていますので、その消費意識についてご紹介します。節約だけなのか、というとそうではなく、視点を変えていくと、チャンスと捉えることができることがあります。そのひとつが、セグメンテーションのしかたです。焦点の当て方を変えることで、リード層が見えてきます。それが第4番目のポイントです。そして5番目にどういうふうに買い物行動が変わろうとしているのかということをまとめます。そして最後に、以上の五つの調査結果をもとにして、これからどのようなマーケティングが必要となってくるのかということを6番目としてまとめております。
今の日本人の価値観の四つの方向というのは、まずI軸と書いてあります「自己実現志向」です。「自分の能力を試したい」や「理想や夢を追いかけていきたい」「ワンランクアップの生活をしたい」という、いわゆる上昇志向、自己実現志向というものです。 II軸は、「伝統保守志向」というもので、「伝統や歴史のあるものを大事にしたい」や「他人のために役に立つように生きていきたい」というような、伝統的な秩序を重んじる価値意識です。 III軸が、「自由享楽志向」ということで、これは「今が大事」「将来の為に我慢するよりは、今を充実して生きていきたい」という価値意識です。 IV軸が「他者依存志向」です。世間体や他人の目を意識すると同時に競争意識が強く「世間体が気になる」というのがキーワードになります。 このように、四つの価値意識の方向性というのがあります。分析的にいいますと、たくさんの価値意識に関する項目を挙げて、年毎にサンプル数とサンプル構成を合わせて2005年からの因子分析を行い、年次別に平均値を算出し、強弱がどうなっているのかをみたものがこのグラフです。
この時に何が起こっていたのかを振り返ってみると、2005年の調査時期が2005年9月上旬、ちょうど郵政民営化の総選挙を9月11日に控えていた時期でした。郵政民営化法案が成立したのが05年の10月です。それまで誰もできなかった郵政民営化を小泉内閣がやろうとして、まさにこれから変わる!というイメージを、誰もが持っていたのだろう、という時期です。2006年の調査を実施した2006年9月になりますと、小泉政権末期で、2006年9月末に安倍内閣が成立しています。そして1年後に福田内閣になり、また1年後に麻生内閣にかわっています。そして昨年、2009年8月末の衆院選で自民党から民主党に政権交代が起こるという、まさに大転換があったわけです。価値意識の変化と同様に、国民の選択にも大きな変化があらわれたと捉えることができそうです。私共が価値意識という観点から生活者を見ていったときに、ものすごい変わり目に居合わせているなと感じますし、そのような時期にわれわれがマーケッターとして市場を捉える上で、大変な時期にいるのだな、と思います。 単純に図式化すると、「自己実現志向」という前向きな価値意識が2005年には非常に強かったのですが、2009年はこの前向きな価値意識ではなく、「他者依存的志向」が強まり逆転する形になっているのが、価値意識の現在ということになります。 (2010.01)
※本コンテンツ作成は、当社代表松田久一による貴重な助言や協力のもとに行われました。ここに謝意を表します。
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